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「育てる・育つ」

2001.11.14:コラム…「CHRニュース」Vol.12より

前号で講師・カウンセラーの養成のことに少しふれました。その直後から本当に育てておいて良かったと思える状況が次々と発生したのです。

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 8月の第2週目に青森に仕事で行きました。青森はこれまでも度々仕事で出かけていて、特にトラブルの発生はなかったのですが、今回は“万事休す”状態になってしまいました。

 2日間の研修だったのですが、2日目の途中から、お天気が悪くなり、雨が降り始めました。仕事を予定通り終えて、青森空港まで先方の教育担当者に送ってもらったのですが、空港が近付く頃から何となく不安を感じるようになり、その不安は的中しました。濃霧のため、午後からの便が全然飛んでいなかったのです。私が乗る飛行機の時刻までには、まだ相当時間があり、途中で回復するかもしれないといわれるのです。迷った挙句決断をしてすぐ青森駅に連れて行ってもらいました。みどりの窓口の長い行列に並んで夜行寝台列車を買おうとしたら満席でだめ。ならば最悪の選択で夜行バスをと思いましたが、すでに臨時便まで満席状態だったのです。ここで私は“万事休す”状態になってしまいました。

 翌日は千葉で講演を頼まれていて、絶対穴は空けられないのです。大きな荷物をもって途方にくれ、次の手を考えました。そのとき浮かんだのが代役です。すぐ石橋さんを通して黒澤和美さんに連絡をとりました。対象は保育士さんと幼稚園の先生です。黒澤さんは幼児教育の専門家なので何とかなると思ったのです。夜ホテルからFaxと電話で大まかなところを伝え、翌日東京駅で石橋さんからOHPを渡してもらい、無事穴をあけることもなく、しかも講演会は好評でした。

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P> 同じ頃、ある企業から同時に同じプログラムで2箇所の事業所で研修を行なうので、私以外に一人講師を連れてきてくれという話がありました。4〜5年前から、私が頼まれた研修で、可能なところは高橋真理子さんを同行し、講師として育てていましたが、いつも私が一緒で一人で行ったことはなかったのです。マナー研修の講師としては、独り立ちしていますが、私の研修では、まだお互いが不安だったのです。

 でも、そんなことは言っていられない状況に、思い切ってチャレンジすることになりました。話がきて、研修の日までに全然会う日程もとれず、全て電話・FAX・メールでのうちあわせのみで、とにかく担当してもらいました。私は明石、高橋さんは長野です。毎晩ホテル間で連絡を取り合い、何とか無事終えることができました。いつも私の側で見ていますし、少しずつ講師としても練習はしていましたが、一人で全てというのは、とても勇気のいることでしたが評判もよく、思いがけないチャンスに独り立ちの自信をつけることができたのです。

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 明石と長野の研修が好評で、同じ研修をという話が舞い込んだのは、半月後でした。しかも今度は6人の講師を連れていくという、かなり無謀な話です。NPサークルのメンバーから選びたかったのですが、講師が出来る人は限られていますので、勉強仲間に声をかけ応援を頼みました。それからが大変。講師養成特訓講座と銘打って、1日電車がなくなりそうな時間まで行い、後は現地に行ってから毎晩遅くまで、勉強をしてもらいました。

 自己理解・他者理解・キャリア開発を目的とした5日間の研修は、特訓の甲斐があってとても好評でした。

 最終日は講師と受講生が別れがたい気持ちになり、涙する場面もたくさんありました。私の研修の手の内の大部分を公開したのですが、みなさんとても勉強になったと喜ばれました。ここで手伝ってもらったNPサークルのメンバーは、三厨万妃江さん・五十嵐美貴さん・行時貴代さんと高橋さんです。三厨さんはかなり講師としては、キャリアをつんでいますが、直接見る機会はありませんし、高橋さん以外は新人といっていいでしょう。ところが、皆さん受講生を前に堂々とした態度で、受講生のこころをきちんとつかみ、立派に講師を務めてくださいました。

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 以前、ある講師の大御所に高橋さんを紹介したとき、いい人を見つけたと羨ましがられたことがあります。そのとき「私が育てられるかが問題です」といいましたら、「勝手に一人で育ちますよ」と言われましたが、まさにそのとおりでした。カルチャーセンターにカウンセリングを学びに来た時、講師としての姿を想像した人は一人もいなかったはずです。みんな素晴らしい能力を持っていることを改めて感じます。育てる喜び、育つ姿をみる喜びを味わっています。

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